【レースレポート】中国・四川省で開催されたUltra Tour Mt.Siguniang60kmを走ってきた(START~CP8「八角棚海」)【UTMS60】

11月3日(土)UTMS60kmレース当日です。

スタート前

まずはスタート2時間前の午前1時に起床。
宿が早朝にも関わらずご飯を準備していてくれていました。
お粥に万頭(マントウ)、よく分からない漬物から果ては朝マーボーも。
食べ過ぎない程度に頂きます。


会場まではちょうど宿の前から出ているシャトルバスで向かいます。
配布物の中に無料チケットが入っていたのでそれを使いましたが、チケットがない場合は片道3元/人が必要です。

午前2時前には会場に到着。
まだ早すぎたのか、ほとんど選手の姿は見えません。
とりあえずゲート入場前に必携品のチェックを受けます。
受付の担当者によってチェックの内容は様々で、私の場合は全必携装備の提示を求められましたが、任意抽出の人もいたようです。
チェックに併せてGPS端末の電源をONにして、ICタグの読み込みも行ないます。

チェックを終えたら会場内へ。スタートゲートとは別に大型店とが準備されており、スタートまではテント内で暖を取ります。


簡単な補給食も準備されていたので、ここで補給してもいいかもですね。



午前2時半ごろになると徐々に人が増えてきました。
確認できるだけで日本人はツアー参加者の4人に加え、女性が1人の計5人。
その他はほとんどが中国からの参加のようでした。

START『游人中心(3,258m)』~CP7『打尖包(3,685m)』

そして、午前3時。UTMS60kmのスタートです。

ロードはほんの一瞬、すぐに土&木道(階段)のトレイルに入ります。人数はさほど多くないので、渋滞で足が止まるほどはありませんが、トレイルいっぱいに人が広がり、流れに任せてのペースになりますが、高度も高く、この後のレース展開が未知数なので、序盤は抑え気味で登ることに。

しばらく登ると海子溝の入場ゲートに。当たり前ですが係員はおらず、選手はゲートを素通りして行きます。

ゲートからもずっと土のトレイルを淡々と登っていきます。急坂というよりもゆるやかな登りやトラバースが多く、走れそうなところでもペースを上げずに早歩きをしていると横からバンバン抜かれていきます。
明るければ景色がよさげな開けた場所も多いですが、案の定真っ暗闇で何も見えません。

と、そんなこんなでスタートから1時間36分、午前4時36分に最初のエイドの7.7キロ地点のCP7「打尖包」に到着。この時点で標高3,685m、富士山9合目と同等の標高です。
これまで特にサボったわけでものんびり来たわけでもないのに、関門(4:50)の約10分前にエイドに到着するという恐ろしい事態に。
標高が高いので、思ったよりも登りが登れていないにしても、しょっぱなからここまで関門に追われるとは思いませんでした。


山小屋っぽいこのエイドでは乾燥フルーツと乾物、パイ生地のお菓子、飲料水といったものが提供されていました。
とにかく関門まで時間が無いので、エイドではトイレを済ませて、お菓子を1個つまんですぐ出発です。

CP7『打尖包(3,685m)』~CP8『八角棚海(4,387m)』

気合を入れてCP7を出ます。
トレイルは馬の足跡でかなり凸凹していますが、気温が低いためかがっちり固まっていて、沢沿い以外はぬかるむところはありません。
気温が上がってぬかるんでくると結構なストレスになるかもしれませんが・・・。
小さな丘を越えた先にはうっすら霜が下りて滑りやすい木橋がありました。
その先ではおっちゃんが焚き火をしていましたが、特に声援を送るわけでもなく、案内するわけでもなく・・・。スタッフだったのか地元民だったのか、あの時間にあの場所にいる意味が良く分かりません。

閑話休題。橋を越えると未知なる4,000m級への本格的な登りの始まりです。
登りは強いほうなのですが、空気が薄いのと寒いので、中々ペースが上がりません。
途中には沢がガッチガチに凍って、どこに足を置こうにも氷ばかりという箇所もあり、なかなかに神経を使わせます。

そして、標高4,000mを越えてくると徐々にトレイル上に積雪がちらほらと。
新雪ならばまだしも、地味に踏み固められると滑りそうで肝が冷えます。まあ、暗闇なので展望が利かず、自分が今どんな斜面にいるか分からないのが幸いだったかもしれませんが(笑)

標高を上げるにつれて雪の量も多くなり、また、体も思うように動かなくなってきます。
軽い高山病&低体温になりかけなのか、頭痛と手先の冷えが徐々に出てきます。補給を取らないといけないのですが、寒さからか疲れからか、中々立ち止まって何かを口に入れようという気も起きません。
せめてと手作りジェルを口に入れて根性で体を上に持ち上げます。

ふと上を見たときに見えるはるかな高さのヘッドランプの灯りに絶望すら感じながら、ひたすら無心で足を動かします。


午前6時半ごろには空が白み始め、徐々に全体像が見えてきます。見えてきてしまいます。

今まで真っ暗闇で漠然としか分からなかった、これから先の登りと雪の量に愕然としてしまいます。

4,000m付近では締め固められた雪でしたが、4,200m付近になればふかふかの新雪に。くるぶしやひざ下までのスノートレイルに様相が変わってきました。
まあ、下手にうっすら雪が積もって滑るよりもここまで雪が積もってくれたほうがまだ滑落の危険性が減るので、それが不幸中の幸いというところでしょうか。
とはいっても、雪に足を取られ、ただでさえ高地の登りで牛歩状態になっているところをさらに時間と体力が奪われていきます。
また、雪の上を吹く風は冷たく、速度が出せず補給もままならないのでどんどん体温も奪われていきます。
本当にあと数十メートルの登りですら虫の息の状態でまったく体が思うように動いてくれません。

それでも午前7時10分、CP8「八角棚海」(4.387m)にようやく到着しました。先ほどのCP7からたったの5.5kmしか離れていませんが、獲得標高は810m、2時間30分以上かかっています。

到着したのはいいものの、これまでほぼ無補給になったツケが。
低体温になりかけなのか、シバリング(体の震え)が止まらず、エイドのテントの隅で蹲る羽目に。ついでに頭痛とガス欠と・・・と中々にいやーな状態になってしまいます。
とりあえずエイドで暖かいお湯をもらって、手持ちの服を全て着込んで暖を取ります。
全然胃腸が受け付けてはくれないものの、携行食もお湯で無理くり流し込んでカロリーを摂取します。


ただ如何せんここは4,387mの高所。留まっていても状況は改善しないと判断し、動いて熱量を確保しようと、15分ほどでエイドを後にしました。


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