前回の投稿から2ヶ月ほど更新しなかったのですが、その間にも山を走っていたのでこれからはちょこちょこコースを紹介していきたいと思います。
さて、さかのぼること1ヶ月前のGW真っ只中の5/6、祖母傾山系約40kmをぐるっと一周、完全縦走してきました。
コースはオーソドックスな縦走路である傾山登山口~三ツ尾~傾山~九折越~本谷山~尾平越~古祖母山~障子岳~祖母山~大障子岩~前障子岩~建男社~(ロード)~傾山登山口の時計回りコースです。
前日23時に駐車場入り、車内で軽く仮眠をとっておきます。
まだ夜が明けぬ午前4時40分、駐車場をスタート、まずは三ツ尾経由で傾山を目指します。
登山口から三ツ尾までは700m強の高低差が控えていますが、周りは真っ暗なので道を間違えないようにゆっくり登ります。
5時30頃にはうっすら空が白んできて、ライト無しでもコースが見えるようになってきました。
後ろを振り返るとこれから向かう祖母山の横に真ん丸なお月様が顔を覗かせています。
ここら辺の尾根にくると若干傾斜が緩んできました。
スタートして丁度1時間、午前5時40分に三ツ尾の分岐に到着です。
ここからはほんのひと時、走りやすい稜線が待っています。
左手からは朝日が差し込み、一面オレンジに染まっている木立の中を快走します。
三ツ尾から15分ほど走れば三ツ坊主(チムニーのある岩場)と水場コースの分岐に差し掛かりました。
今回は水場の偵察がてら、未踏の水場コースを選びます。
水場コースは一度東の斜面を下りながら登り返すルートです。
通る人が少ないのか、一部コースが不明瞭な箇所もありましたので注意が必要です。
水場コースの最下点から山頂までは約350mほど登らなければなりません。
三ツ坊主コースと合流すれば山頂まではもうすぐです。
途中展望が開けたところからはこれから走る縦走路と祖母山が垣間見えます。
山頂手前の急傾斜を登れば傾山1,602mに到着です。
午前6時40分、スタートから丁度2時間、コースタイムの50%程度の時間です。
山頂付近ではわずかばかりのアケボノツツジが花を開かせていました。
山頂近くの展望がいいところからはこれから走るコースが一望できます。
さて、せっかく稼いだ標高ですが、これからは九折越までの約350mを下らなければなりません。
ある程度下れば走りやすい尾根沿いの縦走路が待っています。
ここいらで第一登山人と遭遇、九折越でテン泊されていたみたいですね。
午前7時10分、傾山から約30分で九折越の分岐兼キャンプ場に到着しました。
テントもこの時点で5~6張はあったかと思います。先に出発されている方もいらっしゃるようでした。
テン場から少し登ると九折越避難小屋があります。ここも何名か宿泊されているようでしたが、パスして先に進めます。
ここからは比較的なだらかな快走路が続きます。
ということはなく、本谷山までの約4.7km、標高差約400mの登りが続きます。
まあ、傾山までの登りに比べたら緩やかな傾斜なので、全然楽ですが。
というわけで、午前8時18分、本谷山1,642mに到着です。ここまでいくつもの偽ピークにだまされた上、地味に傾山よりも高いということに戦慄を覚えます。
ここからは尾平越まで再び約500mほど標高を下ろします。
下りな上、比較的平たいところもあり、かなり気持ちよく走れる区間です。
通称”ブナ広場”と呼ばれる小広場&水場に差し掛かれば尾平越まではもうすぐです。
写真はありませんが、本谷山から4.0kmを約50分で走り尾平越に到着しました。
ここで縦走中のおばさまからオレンジの差し入れをいただき、エネルギーが充填されました。
古祖母山までは450mほどの急な登りです。下った分だけ登らせてくれる、そんな素敵な縦走路が待っています。
山頂近くにはハシゴ場も控えており、疲れた体には結構こたえてきました。
ふと横に目をやると後半戦の山々のお姿が。
そろそろ心が折れそうになりつつ、午前10時、古祖母山1,633mを撃破。
だいぶ気温も上がり、体力と気力と水分が奪われてきながらも次の障子岳を目指して足を進めます。
午前10時38分、障子岳1,703mに到着。そろそろエネルギーと水分が心もとなくなってきて、正直祖母山で止めようか・・・という思いも脳裏を掠めるように。
先を急ごうと思いつつ、ついつい寄り道して天狗岩に立ち寄ります。
これから進むべき祖母山を望みます。この時点で約22km、全行程のほぼ半分くらいです。
正直水がなくなりそうになる中、祖母山直下の岩場をクリアして、午前0時に本ルートの最高峰祖母山1,756mに到着しました。
古祖母山を出てから2時間もかかってしまいましたが、ここで偶然山友に出会い、叱咤激励の声と食べ物を分けてもらい復活、これからの後半戦に挑みます。
と行きこんで出発したところで、水が底尽きそうというわけで、9合目小屋の水場で補給です。
豊富な水量が流れているので、ついでに頭から水を被って火照った体も冷却します。
気を取り直して、最後の難関、障子尾根に向かいます。
宮原までは下りの走りやすいコースなので、さくさく進みます。
宮原から池の原、八丁越までは小さいアップダウンの続く快走路が続きます。
ただ馬の背と呼ばれるヤセ尾根が途中待ち受けているので、そこは注意が必要です。
八丁越を少し過ぎたくらいから大障子岩を望みます。
そしてここいらで本日2回目の偶然の出会い、脊梁のガイドをしてるT氏に遭遇。
傾山から走ってきたことを伝えると人外・・・超人扱いされつつ、応援の声を背に先を急ぎます。
というわけで、午後2時09分、1,451mの大障子岩に到着です。
残すところは前障子のみ、隠れた目標であるロードを除く馬蹄型縦走路の12時間以内走破が現実味を帯びてきました。
とは言えど予想以上に天気が良く、暑さと疲れで思うように足が進みません。
それでも前障子の岩場直下を午後2時35分に通過しました。
ここからは一気呵成に鬼の標高差1,000mの下りをつるべ落としで下ります。
黒岩山周辺では間違って黒岩山方面に登った登山者を見かけ、またところどころ分かりにくい箇所がありましたので、注意が必要です。
日があるうちにこのルートをクリアできて正直ほっとしました。
谷間を抜けて伐採斜面に出ると眼下に砂防ダムが見えます。
ここまでくると一安心です。
伐採斜面をまっすぐ降りて林道(作業道)と合流、道なりに下りれば障子登山口と縦走路の終点、健男社に到着です。
ここまでで距離約35km、累積標高3,575mを11時間57分で走りぬけ、12時間以内ギリギリのタイムとなりました
といっても旅はまだこれでは終わりません。
ここから傾山登山口までのロードセクション、約4kmが待ち受けています。
しかも単に平坦なロードではなく、100mほど下ってからまた100mほど登り返すという鬼畜なロードです。
ただかだ4kmですが、走る元気はなくたまに走って大体歩くを繰り返し、午後5時16分、スタートから12時間36分で無事元の駐車場に帰ってきました。
約39.5km、累積標高約3,650mの九州きっての縦走路は本当にハードなコースでした。
天気が良すぎるのもありますが、登っては下りての繰り返しで、身体以上に精神にダメージを与えてきます。
また、基本は明瞭な踏み跡、登山道があるメジャーなルートとはいえ、障子尾根間は比較的人が少ないため分かりづらいところがあり、また崩壊した箇所も散見することからこのコースを走る場合には祖母傾に詳しい方もしくは一度は自分で歩いてルートを知っておくことが必要です。
と、怖いことばかり書きましたが、九州岳人の目標となっているだけあって自然豊かでまた景色も美しい気持ちいい山々でした。
最後に無事完走できたこと、また道中応援していただいた登山者や友人に感謝したいと思います。
今回のコース
傾山登山口~三ツ尾~水場コース~傾山~九折越~笠松山~本谷山~尾平越~古祖母山~障子岳~天狗岩~祖母山~九号目小屋~宮原~池の原~大障子岩~前障子~建男社~傾山登山口
距離:39.5km、累積標高:3,650m
※GPSの関係でロード区間はGPSのログがありません。