Samedanの大エイドでちょっと長めに休憩を取った後は本大会初の夜間走行が待ち受けています。
異国の土地での独りでのナイトセクション、しんどうそうと思った矢先、ちょうど一緒に休憩を取っていた日本の方と一緒に出発することに。
厚かましいながら、行けるところまでご一緒させていただくことにしました。
Samedanのエイドを出た後は、少しの間空港に沿って平坦なロードを進むことになります。
空港といっても地方の小さな空港、特に灯りがあるわけでもなく、辺りは完全に真っ暗です。
明かりが見えたと思ったらレストランかなにかの建物ですが、これが見えたらトレイルの始まりです。
林の中の九十九折のトレイルをゆっくり標高を上げていきます。まずは手始めに750mの登りが待っています。
どれだけ登ってきたところでしょうか。森林を抜け、開けた場所に出てきました。
展望が開け、下を見やるとSamedanの夜景が一望できます。
ちなみにここらへんにたどり着く少し前、Samedanからご一緒した方が睡魔に敗れたため、一人で歩いていました。
森林限界を超えてもまだしばらく登りは続きます。
この途中で残り140km地点の看板を発見。出発から15時間、ようやく60kmです。
また、このあたりで以後ご一緒させていただくエイキチさんとヨネッチさんに追いつかれました。
夜間区間で心細かったのもあり、無遠慮ながら金魚の糞状態でくっつかせていただきました。
しばらくは抜いたり抜かれたりを繰り返しながら2454m地点のMuottas Muraglに到着。
ここはロープウェーか何かあるみたいで大きな建物があったのを覚えています。
Muottas Muraglからは再び100m強の下りです。比較的ゆるやかな下りでしたが、走る元気はなくエイキチさん&ヨネッチさんに先導してもらってました。謝謝。
下り終わったら今度は400m程度の登り返しです。
九十九折に標高を上げていったはずですが、正直記憶があまりありません。
たぶん前に人がいる安心感と疲労で睡魔に襲われていたのか、無我の境地に達していたかのどちらかだと思います。
400mを登りきったらChamanna Segantin2,731m地点です。ここからはこれから行くPontresinaの街が見下ろせます。
ちなみにSamedanからPontresinaまでは山を登らずとも平地を歩いて6km弱の距離です。
そこをあえて14kmの水平移動with山越えで行かせてくれる運営の優しさに心打たれます。
Chamanna Segantinの峠からは900m強の長い長い下りが待っています。
かなりしんどいところではありますが、心を無にしてエイキチ・ヨネッチペアの後をくっついていきます。
スタートして17時間、現地時間の14日午前1時に65km地点を通過。余力がなくて距離表示くらいしか写真を撮っていません。
ここの長い九十九折の下りのトレイルは、乾燥しているせいか、砂埃が舞い上がります。砂埃のせいで気管が炎症を起こしやすく、個人的にはけっこう嫌な区間でした。
なお、この区間、九十九折のところどころにちょこちょことショートカットというか斜面を直下するコースがありました。
それを使っていいのか分かりませんが、急な下りに自信があれば活用すると早く下りれるかもしれません。
しかし、この下りは長かったです。森林限界から樹林帯に入ってからもひたすら下り。高度計を見ても思った以上に標高が下がっていないという苦行がそこにはありました。
それでもいつかは終わりが来る!
65km地点から約1時間後、どうにかPontresinaの街にやってきました。
街自体はわりと大きそうでしたが、何せ深夜2時、人気がない町をとぼとぼ歩きます。スキーが人気なのか噴水にはスキー板を持った少年のモチーフが。
と、ちょこっとだけ観光気分を味いつつCP7、Pontresinaのエイドに到着です。スタートから19時間、よくもまあ走ってきたものです。
CP7は屋内駐車場の一角に設けられていました。風もなく温かいのでほっとします。
エイドでの補給はもちろんパスタwithポテトで。69km地点とは思えないほどの疲労で先が思いやられますが、兎にも角にもしっかり休息をとります。
Pontresinaのエイドからはしばらくフラットな7kmの区間です。深夜の街中を抜けたらあとは真っ暗な林道を歩き続けることとなります。
こういうときにもストックが欲しいのですが、ないものはないので改めてそこらへんの木の枝をストック代わりに調達します。
とりあえずエイドからすぐに70m地点、19時間40分が経っています。
ここからもフラットな林道は続きます。ひたすら樹林帯の単調なコース、睡魔に襲われほぼ寝ながら歩いていました。
睡魔に耐えつつ、たまに負けつつ前に進むこと約1時間、ようやく75km地点です。
75km地点からさらに少し林道を進めば、Fourcla Surlejのコル2,755mまでの800m弱の登りです。が、正直ここからコルまでの記憶がほとんどありません。
前後に他にグループがいないなーと思った覚えはあるのですが・・・。
というわけで、一気にワープしてFourcla Surlej2,755mのすぐ側にある80km地点、14日午前5時30分ごろに到着です。
ここから次のエイドがあるロープウェー駅まではゆったりと下る林道を2kmほど歩きます。ここらへんで徐々に空が白み始めて2日目の朝の到来です。
午前6時、スタートして22時間が経過しましたが、ようやく82km地点のStation Murtèl2,699mに到着です。
エイドは駅内のレストラン?か何かに作られており、暖房も効いていて冷えた体に嬉しい限りです。
ここでもいつものパスタをたっぷりいただき、次のエイドまでの14kmに備えます。
しっかり休養を摂ったら次のエイドMalijaに向けて出発です。
このころには夜も明けて辺りもだいぶ明るくなってきました。人間不思議なもので、明るくなるとやっぱり元気が出てきます。
エイドからはロープウェーの架線下を九十九折に下ります。眼下に見える湖と正面の3000m級の山々がとても美しかったです。
しばらく下ると山腹をトラバースするトレイルになります。進行方向左手に湖を眺めながらひたすら標高を下げつつ水平距離も稼いで行きます。
なお、ここらへんでPntresinaからの相棒である現地調達ポールを廃棄。下りが続くためちょっと邪魔かと思って泣く泣く手放しました。
ほどよい長さと弾力性があるいい棒でしたが、収納性に欠けるのがネックでしたね。
午前7時35分、85km地点を撃破。まだまだトラバースは続きます。
トラバースが終わると一度ガクッと標高を下げる箇所が。
綺麗に整備されたトレイルを下っていきます。道端の花も綺麗ですが、やっぱり名前は分かりません。
この一軒家が見えたらだいぶ標高を下げてきていると思います。
といってもここからの林道の下りも長く、疲れた足にはダメージを与えてきます。
しんどい林道下りを終えればSilsという町に一度下りてきます。リゾート地なのかとても綺麗な町でした。
Silsの町からは少し登り返して再びトレイルに入ります。
登りといっても傾斜はゆるやかで、基本山腹をトラバース気味に歩く形です。
この途中で90km地点に遭遇、午前8時半、とうとう丸一日経過した模様です。
樹林帯のトレイルを抜けると小さな村に出てきます。
ここからは湖畔のフラットな林道をひたすら歩きます。この日は風もなく、湖面に山が映ってとても綺麗でした。
やけに長く感じる林道を歩き続ければ95km地点に到着です。
まあ、ここからMalojaの町というかエイドまでが遠く感じること。距離的には1km程度なのですが、町が見えて、町に入ってからも結構歩かされます。
それでもいつかはたどり着くというわけで、午前9時半ごろにMalojaのエイドに到着。
ここも少し大きめのエイドで、食事のほかに仮眠スペースが設けられていました。エイキチさん、よねっちさんは仮眠を取るとのことでしたが、私はストック調達のためエイドを離れて数百m離れた登山用品店へ。
ようやく念願のストックを手に入れることが出来ました。ついでに防寒が心許ないので厚手のレインウェアも追加で購入。この代金は航空会社に請求してやります。
エイドに戻って少し身支度を整えたらまもなく出発です。結局1時間ちょっとMalojaにいましたが、仮眠は出来ませんでした。
次は135km地点のSavoginを当座の目的地として歩を進めることとします。