Malojaを出発するとすぐにトレイルに入ります。原野のような山の山腹をジグザグに850m弱の登りを進みます。
さきほど手に入れたストックをフル活用して黙々と標高を上げていきます。
しばらく登ると少し傾斜が緩くなり開けた場所に。
次のピークはあそこだ、いや、まだ先だなどと話していましたが、やっぱりまだまだ先でした。
最初のピークLunghinpassの途中では空模様も怪しくなってきて、ぽつぽつと雨も降ってきました。
雨だけならばいいのですが、どうも雲行きが怪しい。標高も2,500mを越えてくるとあたり一面ガスに覆われます。
そして恐怖の時間が訪れます。登りの終点、Lunghinpassのコルの近くまで来ると・・・まさかの雷鳴が。しかも割りと近い。
まだ雲内の放電で済んでいるようですが、いつ地表に落ちてくるか分かりません。
一切の隠れる場所がない開けた登山道のため、エイキチさん、ヨネッチさんとともに足を急ぎます。
といいつつ、急いでいるのについつい100km地点だったので写真だけはパシャリ。
雷鳴に追われながらLunghinpass2,650mに到着するも、ガスに巻かれて一瞬ルートを見失います。
最高点の何もないコルで雷がなる中必死にルートを探すと、ちょっと先にルートを示すフラッシュライトが。
そこからは近くにいた地元選手と一緒に必死に標高を下げます。どうにか雲を抜け、ある程度標高を下げるとほっと一安心です。
余談ですが、私たちが雷から逃れるために必死の思いで下っていると地元の登山者が雷が鳴る中がんがん登ってきていました。それも大人数・・・大丈夫か、スイス人。
先ほどのコルから300mほど下ればSeptimerpassのチェックポイントです。CPといってもチェックしてるのかしてないのかよく分からないスタッフが一人立っているだけでしたが。
ここからは草原の中のわりかしフラットなトレイルになります。その途中に95km地点が。
さっきは半狂乱の中100km地点を駆け抜けましたが、ようやく半分を切ったのかと実感。そしてまだあと100kmも待っているという事実に足が震えます。
草原のトレイルから一度林道というか牧場の中の牧道を使って標高を下ろしていきます。
ここから次のエイドまではずっと砂利道です。歩きやすいので距離を稼げるはずですが、単調な道なので飽きてくるわ、地面からの突き上げがきついわで、個人的にはしんどい区間でした。
進行方向右側の谷間の街Bivioに次のエイドがあります。いっても街が見えてからが地味に距離があり大変でしたが。。。
それでもいつかは終わりが来るということで、午後2時、110km地点のBivioのエイドに到着しました。
このエイドでもいつものパスタを頂きます。雨にぬれて体が冷えてか、カロリーを欲していたのでガツガツ食べますが、胃腸が丈夫でホントによかったです。人間、食わねばやっとられんからですね。
ここのエイドではあまり休憩は長く摂らずにさくさく先に進もうと話をしていたのですが、雨脚が強くなる上、雷もかなりひどく足止めを食らいました。
休憩できた半面、ちょっと余分な時間を取られてしまいましたが、雨が弱まった隙をついてとりあえず出発することに。
Bivioの街を横切って再びトレイルに入ります。ここから次のAlp Flixのエイドまでは9km強と短く、また登りも最大で400m程度なのでこれまでに比べると楽な区間です。
Bivioの街を出てすぐに110km地点の看板がありましたが、撮り逃したので地点の写真は無しで。
登った先は高台の開けた段丘地で、フラットながらも草で凸凹しており、少し走りづらいところになります。
しばらくは丘を横切る形で小さいアップダウンを繰り返した後、一度200mほど標高を落とします。
で、再び登り返しが待ち受けており、その登りの途中、午後4時23分に115km地点を通過しました。
そこから登って、下ってを繰り返し、最後はフラットな広い草原の砂利道を走ります。
途中、スタッフが声をかけてきて、先ほどのBivioのエイドに忘れ物があったけど違うか?と声をかけてきました。
私たちではなかったのですが、わざわざエイドからバイクをかっ飛ばしてコース上に持ち主を探しに来てくれたみたいです。
Alps Flixのエイド前で再び雨に降られ、体温を奪われてた状態でAlps Flixのエイドの小さい小屋に避難します。ここではパンとスープをいただき英気を養いました。
雨がなかなか止まなかったですが、雨脚が弱まったのを見計らって次のエイドを目指します。
ここでも400mほどの登りが待ち受けていましたが、のんびり根性出して登りました。
午後6時38分、2,460mのFalottaを通過。ここは最高点でなく、コルまでもう少し登りが待っています。
Falottaを過ぎた先のコルからのコースはゆるやかなアップダウンを繰り返すトラバースです。
途中には3,000m級の山が真正面に見えるこんな絶景が。
実はここでトラバースが終わって下りが始まると思っていたら、全然違って、ここから直角に右折して再びトラバースが始まります。
このトラバース区間は少し岩場を巻く箇所もあったので暗い時間は怖いところかもしれません。
125km地点のFurschela de colmまで来るとトラバースは終了。ここからDematのエイドまで550mほどの下りです。
草原の凸凹した走りやすそうで走りにくい坂をひたすら下っていきます。
この大会のどこでも言えることですが、とにかく下りが長い。進んでも進んでも下りが続くので心が折れそうになります。
それでもぎりぎり日の残る午後8時15分、Dematのエイドまでやってきました。ここも簡易なエイドなのでパンとコーラを頂くだけになります。
DematからはSavogninの大エイドまで基本下りのコースです。もうと
Dematを出てすぐはひたすら林道を下り、別の林道と合流する橋の手前でトレイルに一旦入ります。
ここで地元選手にトレイルじゃなくて川沿いの林道通ってもあとで合流するからこっちが楽だよ?と声をかけられましたが、コースを外れたくなかったのでお断りしてトレイルを進むことに。
この途中で130km地点の看板に遭遇、林道を選んでいたら看板を見れなかったのでよかったのかもです。
トレイルから林道に戻り先に少し進むと左手に街の灯りが見えてきます。
ようやくSavogninの街かと思いきや、これはまったく別の街のようで目指すSavogninはもう少し先のようです。
林道から再びトレイルに入るとながーいトラバースが待ち受けています。小さいアップダウンを繰り返し行けども行けども街に下りる気配がないという長い道のりでした。
この区間は地元選手にひたすら先導してもらったので記憶があいまいな箇所も多いです。
この選手は親切な方で、木の根が出ていたり段差があるとわざわざつまづかないように注意してくれたり、黒ヤモリを見かけるとこいつはサラマンダーって言うんだぜ、と紹介してくれました。
結局この選手にSavogninまで案内してもらうことに。彼はいったい何者だったんでしょうか。
Savogninの街中に135kmの看板はあります。街に下りてからエイドまでもかなり距離があったように感じました。
というわけで、午後10時9分、Savogninの大エイドに到着です。スタートからすでに38時間が経過していました。
ざっくりと放置されているドロップを受け取って唯一の着替えを受け取ります。
とにかく眠いわ、足の裏の皮が大変なことになるわで正直ここでリタイアしたい気持ちにも襲われましたが、まずは栄養と休息を摂る事に。
大体45分ほどの睡眠と大盛りパスタを貪ったらだいぶ気分も良くなって先へと進む気力も湧いてきました。
38時間眠らず歩いて45分寝ただけで気力が回復するあたり、人間の底力を感じますね。ついでに救護所で足の裏のケアもしてもらえたので、やめる理由がなくなりました。
あとはゴールを目指して残り65kmを歩きぬくだけです。
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