大会が終わって2ヶ月経つのに全然スイスアイアントレイルのレポートを書いていないので、そろそろ書き終えたいと思います。
ということで、135km地点のSavogninのエイドからのレポートです。
Savogninで少し仮眠をとって元気を取り戻したあとは、暗闇の街中へと足を進めます。
ちょっと街中でルートロストがあったものの、どうにかすぐにルートに戻ることが出来ました。
街中を抜けると砂利道のコースになりますが、向かう先にはT121の部の選手のヘッドライトがたくさん。
中国か韓国かのグループが先行しているようです。
ここから次のエイドまではかなり緩いアップダウンしかなく、ようやくボーナスコースとなりました。
走るほどの足は残っていませんが、快調に歩いていきます。いくつかの小さな村を通り抜けていきますが、そこまでもほぼ舗装路と砂利道のコースでした。
次のエイドのTiefencastelの街への下りだけが少し傾斜のある下りのトレイルでしたが、これまでの下りに比べるとそこまで厳しくはないように思います。
といっても、この間、140km地点、145km地点の看板があったはずですが、写真を撮ることなく終わっており、なんならしばらく一切写真を撮る余裕はない程度に眠かったようです。
そんな感じのまま、本大会最低標高851mの谷底の街Tiefencastelのエイドで休息をとった後は再びコースに復帰します。
次のLenzerheideまでは前半はわりと傾斜の緩い登りのボーナスステージとなっています。
Tiefencastelの街から舗装道を通って線路沿いのトレイルに入りますが、砂利道が大半を占めています。
15日午前4時前に150km地点を通過、ようやくラスト50kmになりました。ラストといってもまだ1/4は残っている現実に心が震えますね。
ここから林道、トレイル、集落を交互に通過しますが、記憶がないところがたくさんあります。
先頭を歩いていたはずですが、Zortenの村へ登るトレイルをほぼほぼ寝ながら登っていた記憶があります。
ということで、人間、寝てても歩けるし山だって登れるという事実を発見いたしました。
とにかくここら辺が一番眠く、集落を結ぶ舗装道をフラフラしながら登っていきます。
157km地点のSporzの村あたりで夜明けを迎え、そこからスキー場を横切るトレイルを歩き、別荘地を通り抜けたら160km地点のLenzerheideです。
まだ薄暗い15日午前6時15分、Lenzerheideに到着です。
体育館か何かの中に設置されたエイドは温かく、つかの間の休息にほっとします。とりあえずパスタやらをがっついた後はちょっと仮眠をとることにします。
マットに横たわって目をつぶると一瞬で夢の世界へ。30分ほどの仮眠でしたが、寝たのか寝てないのか分からないくらい一瞬の出来事でした。
ちょっとの仮眠で再び元気を取り戻すとラスト40kmを頑張って歩きます。
序盤は針葉樹の中のトレイルの急登です。疲れているとはいえ、特に故障しているわけでもない私がエースケさん、よねっちさんを引っ張ります。
逆に下りの時にはお二人に引っ張ってもらっていましたが・・・。
しばらく登るとボーナスステージで、森のトレイルをトラバースするコースに。
トラバースの終点には水場があったので、ついでにここで給水をしていきます。
水場からすぐにリフト駅がありました。
そこからは牧草地の中の長い長い砂利道のスタートです。
ついでに霧もかかって先がほとんど見えない状況になりました。
それでも少しずつ距離を重ね、165km地点、ほぼ100マイルを達成です。
ちなみになんの水か分かりませんが、人工湖でめっちゃ青い池が165km地点の側にありました。
コバルトブルーのなんか環境によろしくない金属とか溶け込んでそうな水です。
とにかく長い牧草地だかスキー場だかの地味に急傾斜な砂利道を時にはトレイルでショートカットしつつ登っていきます。
コース案内の矢印が牛に動かされあらぬ方向を向いていたりするなど、ざっとしたコースですが、それもまた面白さでもあります。
どうにか砂利道を登り詰めるとUrdenfurggli2,546mのコルに到着です。
ここに来ての2500m級の山、前のエイドからは1,000mの登りでさすがにしんどかったです。
といってもここがゴールでもエイドでもなく、次なるエイドは一度下って登り返した先にあります。
兎にも角にも先に進むと前からはMTBに乗った方々が。ロープウェイで登ってきてトレイルを走り下るんでしょうが、気持ちよさげな反面怖くないのかと勝手に心配。
ただ日本ではめったに見られないMTB乗りとの遭遇に、欧州の山文化の違いを感じます。
あたりはガスが出たり晴れたりで、なかなか安定しませんが、晴れた瞬間の絶景は素晴らしいです。
こんなトレイルを走れるなんて本当にスイスまで来た甲斐があります。
行く手に見えていたロープウェイ駅まで少し登り返して、170km地点のエイドHornlihutte2,511mに到着です。午前10時30分、スタートして50時間が経過しました。
ロープウェイ駅内と思いきや、裏手のバックヤードみたいなところに設けられた狭いエイドで、この大会のマイナーさを実感します。
T121の部の選手も先着してエイド内は混雑しており、結構手狭な感じでした。
エイドを出てからは砂利道を下って、後半最後の2500オーバーの山、Weisshornを目指します。
やっぱり登りよりも中途半端なこんな下りのほうが足にダメージを与えます。上手くストックで衝撃を和らげつつテンポよく歩きます。
途中から山腹をトラバースし、Weisshornの登りに移ります。
あたりは一面のガスに覆われて先は全く見えません。
ただ足元には高山植物が咲き誇っており、花が好きな人にはたまらない時間だと思います。
そんなこんなしていると15日午前0時過ぎ、本大会唯一の山頂であるWeisshorn2.653mに到着です。
残念ながらWeisshorn(ヴァイスホルン)の呼び名どおりというわけではないですが、完全にガスに巻かれて完全に真っ白のピークでした。
それでも憧れの本場のアルプスの山頂、なかなか言葉にできない感動がありました。
ゴールまで残るは23km、制限時間内のゴールが現実味を帯びてきました。とりあえずは次のエイドArosaの街を目指します。