前半戦の続きです。
【コース紹介】九州男児のウルトラトレイル登竜門、背振山系全山縦走-Ultra Trail Mt.SEFURI-にチャレンジ(前半戦:天拝自然公園~天拝山~基山~九千部山~背振山)
脊振山に到着後、完全に日も落ちてしまったので闇と寒さのナイトセクションに突入です。
脊振山頂からは矢筈峠までしばらくロードを下ります。休憩で冷えた体を温めるにはちょうどいいです。
ロードが終わりトレイルに入ると少し登る以外は椎原峠まで下り基調のトレイル。
思ったよりも風が弱く、そこまで寒さを感じずに済みましたが、代わりに雪解けでトレイルがグチャグチャのズルズル。
水溜りを回避したと思ってもじわじわ浸透してくる水分に心が折れそうになります。
途中展望がいいところで見れた福岡の夜景が唯一の救いでしょうか。
18時40分、椎原峠に到着。だいぶ体も暖まったので服を脱ぎ着して体温調整を図ります。
椎原峠からは登り基調のトレイル。猟師岩山まで100m程度の登りです。
相変わらず足元は悪いので無駄に体力が奪われます。
ここでも綺麗な夜景でちょっと精神を回復。下界からは私たちのヘッドライトの光は見えているのでしょうか。
猟師岩山を見落としつつ、100mほど下って19時24分、小爪峠に到着。
ここから金山までの登りがひとつの核心。標高差こそ大したことないものの、結構きついのぼりに加え偽ピークにだまされていつまでの到着しない金山に心が折られます。
ひとつ越えてはまた登り、ふたつ越えてもまた登る。そうこうしているとようやく本物の金山にご対面。
20時12分、金山967mに到着です。
山頂の温度計を見るとマイナス1度!風も吹いており一瞬で体温が奪われます。
金山からはアゴ坂峠まで約200mの下りです。椎原峠周辺ほど滑りやすくもないので安心して走れます。
また、写真を撮り忘れましたが、この間に(まともな)最後の水場があります。今回は三瀬峠で私設エイドが準備されているので不要でしたが、デポもなにもない場合はここで補給をしておきましょう。
アゴ坂峠から少し登り返せば20時53分、城ノ山に到着。
城ノ山から三瀬峠までは間に三瀬山を挟みつつも、標高差約250mをひたすら下るトレイルです。
21時15分、三瀬峠まで下ってきました。距離的には金山で半分ですが、体感的にはここでようやく半分といったところでしょうか。
三瀬峠には後発組が待っていたほか、ありがたいことに豪華なエイドが準備されていました。
おにぎりにカップラーメン、パン、その他もろもろ。準備をしていただいた方には頭も上がりません。
先が長いのでここでしっかり栄養を補給するため、カップラーメン、おにぎりをたらふく頂きます。ちょっと食べ過ぎて苦しくなったのはご愛嬌。
しっかり英気を養ったらエイド組とはお別れをして実質の後半戦に挑みます。
最初の関門は井原山までの登りで、だらだら4kmほどで約400mの登りが待ち受けています。
お腹いっぱいでちょっと苦しい中、どうにか登りを制覇、日付も変わった23時12分、井原山983mに到着。
井原山からはお隣の雷山まで尾根沿いに行きますが、小さいアップダウンが結構しんどいです。
ついでに笹の道がぬかるんで滑りやすく、ここでも精神・体力的にダメージが結構大きかったです。
それでも日付が変わった29日0時20分、ようやく雷山953mを撃破。先に見える羽金山の電波塔の光を見てこの先の長さに震えます。
雷山からは2段の坂が待ち受けています。1つ目の坂は雷山スキー場跡地までの激坂、2つ目はスキー場から先の下りです。
まずはスキー場までの下り、ただでさえ急な下りな上、ぬかるんで滑りやすいので慎重に下ります。
スキー場跡地まで下りてくると一旦平坦な草原に出てきます。心休まるわずかな時間です。
スキー場跡地から長野峠へ下るトレイルは再び急傾斜となります。が、先ほどのように滑りやすいわけではないのでそこは助かるのですが、茨がちらほらルート上にあって服やらザックやらが引っかかって気が滅入る区間です。
そして下りが終われば杉林の中の軽いアップダウンをいくつか越えれば羽金山の麓、長野峠です。
1時7分、長野峠に到着しました。ここでもエイドを設けていただいて簡単に水分と温かい飲み物を頂くことができました。感謝。
温かい飲み物でほっと一息入れたら大ボス、羽金山の登りに向かいます。
まずは羽金山の麓までしんどいアップダウンをいくつか経て、分かりづらいトレイルを進みます。
林業用のピンクテープが散在し、それに釣られてルートをはずさないように注意が必要です。
白糸の滝と水場の分岐まできたらそこからが羽金山の登りがスタートします。なお、天然の給水はここの水場が最後ですので、必要であればしっかりしておきましょう。
そして迎える羽金山の登り。標高差250mとそこまで高さはないのですが、なにぶん傾斜がえげつなく、壁のごとき激坂が待ち受けています。
そこを根性で登りきれば羽金山に到着です。このとき2時58分、水場分岐から20分程度で登ってきました。
なお、羽金山の山頂本体は電波基地の中にあるため拝むことは出来ません。
羽金山を出ると次はルートが不明瞭と定評のある荒川峠までの下りです。
過去には遭難事故も発生したというこのルート、正規ルートが倒木でふさがれて巻いていく必要があったりと、夜中には非常に怖い区間です。
まあ、今回は一人でない上、脊振完全縦走を幾度と成されている人と一緒だったので不安なく進むことが出来ました。
それでも雑木林の中ではテープも踏み跡も分かりづらく、皆でルートを探しながら進んだところがあったので、ソロで夜中は到底怖くて行けません。
そんなこんなで4時46分、荒川峠に到着。残すピークは3つです。
荒川峠からは女岳を目指します。この女岳、手前に偽ピークが控えており、登りが終わったと思ったらまた一気に標高を下ろして、そこからが女岳本体の登りとなるので間違わないようにしてください。
また、女岳本体の直登もこれまで頑張ってきた足に応える標高差100mの劇坂となっています。
そんな男らしい女岳748mを5時58分に制覇。
女岳からは約200mの急な下りが待っています。せっかく獲得した標高以上に標高を下げる、そんな厳しい山が脊振山系です。
で、6時06分、荒谷峠に到着。徐々に夜が白んできて、次なる浮嶽の姿もうっすらと浮かんでいます。
実に綺麗な山容なのですが、今から登ると思うと綺麗とか言ってられません。
浮嶽までの道はロードを行くと思いきや、ロードの右手から縦走路に入り、浮嶽まで2つほどピークを越えていきます。
浮嶽本体の登りは女岳に負けじと劣らない急登で、実に200mの標高差を0.7km程度で登っていきます。
大岩と神社の分岐まできたら一旦傾斜は緩むので、そこまでは辛抱強く登っていきましょう。
登りの途中、ご来光が出てきました。人間、日の光を浴びると元気が出てきます。ゴールまでもう少し、ふんどしを締めなおして頑張ります。
7時10分、浮嶽805mに到着。山頂の浮嶽神社でこれまでの旅の無事とこれからの安全を祈願します。
浮嶽から次の白木峠までは一気呵成に標高差400mを下っていきます。ほんとここらへんの山は急坂しかないから嫌になってきますね。
また坂を下り終えたら小さなアップダウンを繰り返しつつ白木峠を目指します。ほぼほぼ下りなので、走れる余力が残っていたら楽しい区間です。
そして7時59分、最後の山、十坊山の麓となる白木峠まで下りてきました。
さすがに皆疲労の色を隠せない模様。でも残すところ1ピーク、ここまで来たら完走目前です。
最後の十坊山の登りは170m、女岳や浮嶽の登りに比べれば傾斜は楽ですが、それでもきついことに変わりはありません。
ただ、ここまで来たら走れるところは走ってしまうのがランナーの業。やっぱり走ると楽しいですね。
というわけで、8時26分、最後の関門、十坊山535mを撃破。玄界灘が一望できる見晴らしのいい山です。
この山からは今まで走ってきた脊振山系が一望できます。皆疲れて座り込みつつ、これまで走ってきた山の同定をしていました。
ただ、旅はこれで終わりではなく、海抜0mの鹿屋海岸がゴールです。つまりこれから535mの下りが待ち受けているわけで・・・。まだ先は長い模様。
それでもここまで走る抜けてきた猛者に怖いものなどなく、福吉・鹿屋の分岐までの約1.5km、標高差400m弱の下りを狂ったかのような激走で20分で駆け抜けます。
分岐を左に曲がり、鹿屋方面へ荒廃したトレイルというか作業道跡を辿ってミカン畑まで下りていきます。
ミカン畑に出たらあとは道なりにロードを走ってゴールの鹿屋海岸を目指します。
そして、9時46分、無事鹿屋海岸にゴールしました。
距離にして81.8km(実測)、累積標高差5,993mの本当にタフなコースを24時間43分かけて完走しました。
寒波が訪れるなど昨年に挑戦したときよりも条件は悪かったのですが、最後まで余力を残して走ることが出来たように思います。
何より今回のコースは脊振縦走向上委員会の皆様がいたお陰で完走できました。道中ご一緒いただき、またエイドも準備いただき本当に感謝です。
荒川峠周辺など道が不明瞭な箇所も多く、今のところ一人では到底挑戦できそうもありませんが、しっかり道を覚えて、いつの日かソロで完走できればと思います。
これからウルトラトレイルに挑戦される方、簡単に走れるコースではないですが、このコースを完走できるとかなりの自信になると思います。ぜひ挑戦されてはいかがでしょうか。
また来年あたり走れればいいなー。
今回のコース
天拝山歴史自然公園~天拝山~基山~柿ノ原峠~九千部山~坂本峠~蛤岳~脊振山~椎原峠~小爪峠~金山~三瀬峠~井原山~雷山~長野峠~羽金山~荒川峠~女岳~荒谷峠~浮嶽~白木峠~十坊山~鹿屋海岸
距離:81.8km、累積標高:5,993m